がん治療のダメージをできるだけ少なくして、治療後の回復を早めるために、がんと診断された時点から、治療が開始されるまでの間にスタートする「リハビリテーション」のことをプレハビリテーションといいます。今回は、プレハビリテーションがとくに必要なのはどんな患者さんなのか?についてのお話です。
はじめに
今回は、がん治療前のリハビリについてのお話です。
以前にも動画で取り上げた話題で、外科医としてどうしてもお伝えしたいことですので、最後までご視聴いただけるとうれしいです。
手術前のこころと体の準備「プレハビリテーション」
ご存じだと思いますが、がんの治療は、多かれ少なかれ、体に負担になります。
多くの患者さんは、がんの手術あるいは抗がん剤などの治療によって、体力や免疫力が低下します。
なかには、治療によって、むしろ状態が悪くなったり、寝たきりになったり、あるいは、回復が遅れて社会復帰がなかなかできない、という患者さんもいらっしゃいます。
そこで、治療のダメージをできるだけ少なくして、治療後の回復を早めるために、がんと診断された時点から、治療が開始されるまでの間にスタートする「リハビリテーション」のことをプレハビリテーションといいます。
簡単に言うと、手術やその他の治療に向けての心とからだの準備です。
このプレハビリテーションを行うことによって、さまざまなメリットがありますが、
代表的なものとしては、
- 治療後に早期に回復できる
- 合併症(副作用)が減る
- 死亡リスクが下がり、生存期間が延長する
といった報告があります。
では、どういった患者さんにプレハビリテーションが必要なのでしょうか?
プレハビリテーションが必須の患者さん
わたしの長年の経験から、絶対にプレハビリテーションをしてほしい患者さんについて、7つあげてみます。
●活動性が低い人(日常生活に制限がある人)
●高齢の人(とくに、75歳以上)
●治療中の持病がある人(例:糖尿病、呼吸器の病気など)
●たばこを吸っている人(あるいは咳や痰が多い人)
●体重が減っている人(とくに食事があまりとれない人)、
●筋肉が落ちて手足が細くなってきた人
●手術前に抗がん剤や放射線治療を受ける人
こういった患者さんには、ぜひ、プレハビリテーションを取り入れてほしいと思います。
#がん手術 #プレハビリテーション #術前のリハビリ #抗がん剤 #運動 #栄養 #食事指導 #サルコペニア #食事療法 #リハビリテーション
最新記事 by 佐藤 典宏 (全て見る)
- 余命(予後)と関係する「がん再発」4つのパターン - 2023年1月23日
- 【がん薬物療法】分子標的薬 アダグラシブ:転移を認めるステージ4「大腸がん(KRAS G12C)」に奏効率46% - 2023年1月21日
- 便秘がちな人に増える意外な「がん」とは?慢性の便秘でリスクが増えるのは大腸がんではなく・・・ - 2023年1月19日