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がん手術前の準備:呼吸訓練によって術後の肺炎を減らす

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がんの手術後の合併症として、肺炎があります。

肺炎は、どのような手術の後でも起こり得ますが、とくに、肺がんや食道がんなどの手術後には多くみられます。

また、何らかの慢性の呼吸疾患を抱えた患者さんでは、さらにリスクが高まります。

ひとたび肺炎が重症化した場合には、命を落とすことさえあります。

一方で、この術後の肺炎や、その他の呼吸に関連する合併症を減らすために、手術前からできることがあります。

それが、呼吸訓練(呼吸筋のトレーニング)です。

呼吸訓練は、自宅でもできますし、空いた時間にできますので、必要な方にはぜひ術前にやっていただきたいことなのです。

術前に呼吸訓練を取り入れて欲しいがん患者

以下のがん患者さんには、術前のプレハビリテーションとして呼吸訓練を取り入れることをおすすめします。

  • 慢性の呼吸器疾患がある人
  • 喫煙習慣のある人(あるいは、過去に喫煙習慣があった人)
  • 肺がんの手術を予定している人
  • 食道がんの手術を予定している人
  • 頭頸部がんの手術を予定している人
  • 高齢のがん患者(例:70歳以上)

まず、がん患者さんのなかでも、慢性の呼吸器疾患、とくにCOPD(慢性閉塞性肺疾患)がある人や、呼吸機能が低下している患者さんでは、術前の呼吸訓練が有効です。

肺がんや食道がん、あるいは頭頸部がんの手術では、術後に肺炎などの呼吸器に関連した合併症が増えますので、呼吸訓練によってこういった合併症を未然に防ぐことが重要になってきます。

また、高齢のがん患者さんでは、肺の病気が無なくても、概して呼吸機能(肺活量など)が弱っていることが多いので、積極的に呼吸訓練を行うことをおすすめします。

実際に、呼吸訓練(呼吸筋のトレーニング)を取り入れたプレハビリテーションによって、肺がんの術後に肺炎などの呼吸器関連の合併症がおよそ半分に減ったという報告があります

呼吸訓練の方法

呼吸訓練の方法としては、腹式呼吸、口すぼめ呼吸などを行う方法がありますが、より効率よく呼吸筋を鍛える方法として、呼吸訓練機を使うことをおすすめします。

呼吸訓練のための器機には、トリフロー、スーフル、トライボール、パワーブリーズなどがあり、ネット(楽天市場やアマゾンなど)でも購入できます。

説明書の指示にしたがって、例えば、1日に10回X3セットを目安に訓練を続けましょう。

まとめ

呼吸器系の持病を抱えているがん患者さんや、たばこを吸っていた人、肺がん、食道がんなどの手術を予定している患者さん、また医師から「呼吸機能が低下している」と言われた人は、術前のプレハビリテーションの一環として、呼吸訓練をしましょう

とくに、COPDといわれたことがある人や、長年喫煙を続けていた人は、ご自分の肺の機能について主治医に確認し、呼吸訓練が必要かどうかを積極的に相談しましょう。

ご高齢の患者さんは、とくに主治医に言われなくても、自分でやっていいのです。

肺炎などの呼吸に関連した合併症を予防するために、ぜひ、術前から呼吸訓練をしましょう。

この記事の内容は、『がん手術を成功にみちびくプレハビリテーション:専門医が語る がんとわかってから始められる7つのこと(大月書店)』をもとに執筆しています。

   

  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医+がん研究者。 産業医科大学第1外科講師。専門は「すい臓がん」。エビデンスと経験に基づいた「患者さんファーストのがん治療」が目標です。ブログ、ツイッター、YouTubeなどでがん患者さんに役立つ情報発信しています!

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