プレハビリテーション総論

プレハビリテーションが必要となる手術の種類(術式)は?

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手術を受ける予定のがん患者は、術前からプレハビリテーション(運動、栄養サポートなどの準備)をすることで、合併症のリスクを減らせるといったメリットがあります。

しかし、がんの手術といってもさまざまで、種類(いわゆる術式)によって侵襲(体への負担)が異なります。

基本的には、どんな手術でも、プレハビリテーションをすることのメリットはありますが、体への負担が大きな手術を受ける場合には、よりしっかりとしたプレハビリテーションが必要と考えられます

では、具体的にどのような手術を受ける人がよりプレハビリテーションが必要となるのでしょうか?

患者さんへの負担が大きい手術術式のうち、代表的なものを紹介します。

よりプレハビリテーションが必要となる手術術式

頸部手術

1.咽頭喉頭頸部食道摘出術

進行した下咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がん、(頸部)食道がんに対する手術です。

おもに遊離空腸移植(お腹をあけて小腸の一部を必要な長さだけ切り取り、切除した食道の部位に移植すること)によって再建(つなぎなおし)を行います。

肺炎などの合併症が多い、侵襲の大きな手術です。

胸部手術

むね(胸部)の手術であれば、鏡視下手術(カメラを使った傷の小さな手術)よりも、開胸手術(胸を開く通常の手術)のほうが、侵襲度が上がります。

また、より広い範囲の肺切除術であればあるほど負担が大きくなります。

1.片肺全摘術

肺がんに対し、左右のうち、どちらか片側の肺を摘出する手術。

切り取る肺が大きければ大きいほど手術後の肺活量は減るため、片側の肺を全部切除することは非常に大きな負担になります。

2.肺葉切除術

肺がんに対し、右肺の3つ(上葉、中葉、下葉)、左肺の2つ(上葉、下葉)の肺葉のうち、がんが含まれる肺葉を切除する手術。

肺葉切除術では、片方の肺の半分くらいが切除されるため、元々肺の機能が落ちている人には負担が大きな手術になります。

腹部手術

お腹(腹部)の手術であれば、鏡視下手術(カメラを使った傷の小さな手術)、ロボット支援手術(遠隔)よりも開腹手術(お腹を開く通常の手術)のほうが、侵襲度が上がります。

また一般的に、消化器がんの手術は侵襲が大きく、術後の安静期間が長くなるため、プレハビリテーションのよい適応となると考えられます。

また、消化器がんのなかでも食道がん、肝胆膵とよばれる肝臓、胆道、膵臓がんに対する手術は侵襲が最も大きい手術といえます。

1.食道亜全摘術(食道切除再建術)

食道がんに対し、食道を切除して胃で作成した管などでつなぎなおす手術です。

通常、頸部(くび)、胸部、腹部の3カ所の手術操作が必要となります。

肺炎や縫合不全(つないだところが漏れる)といった合併症が多く、侵襲の大きな手術です。

2.胃全摘術

胃がん(あるいは胃食道接合部がん)に対し、胃を全部摘出して、小腸でつなぎなおす手術です。

がんの広がりによっては、膵臓の一部と脾臓(ひぞう)を合併切除することがありますが、この場合にはさらに負担が大きくなります。

3.肝葉切除術(あるいは、それ以上の拡大手術)

肝臓の右葉(肝の右側)または左葉(肝の左側)を切除する術式です。

がんの部位によっては、それ以上の肝臓を切除する術式もあります。

一般的に、肝臓の切除する量が多くなればなるほど、負担が大きくなります。

4.胆管切除を伴う肝切除

肝門部(肝臓の出入口)の胆管がんなどに対して、左か右かの肝臓切除に加えて、胆管を切除する術式です。

5.膵頭十二指腸切除術

膵臓がん、胆管がん、あるいは十二指腸がん等に対する手術で、膵臓の一部(頭部)と十二指腸、胆管および胆のうを切除する術式です。

切除後に膵臓と小腸(あるいは胃)、胆管と小腸、胃と小腸をつなぐ必要があり、負担が大きく、合併症が多い手術です。

6.骨盤内臓器全摘術

まわりの臓器へ広がった直腸がんに対して、直腸と同時に、骨盤内の臓器(膀胱、精のう、前立腺、子宮など)をすべて摘出する術式です。

出血量が多くなることがあり、侵襲の大きな手術です。

まとめ

以上、侵襲の比較的大きな手術を紹介しました。

これらの手術をうける患者さんは、しっかりとプレハビリテーションをすることをおすすめします。

  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医+がん研究者。 産業医科大学第1外科講師。専門は「すい臓がん」。エビデンスと経験に基づいた「患者さんファーストのがん治療」が目標です。ブログ、ツイッター、YouTubeなどでがん患者さんに役立つ情報発信しています!

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