がんの発症リスクまたは死亡リスクを下げる食品ということで、全部まとめて紹介します。もちろん、これを食べればがんにならないとか、がんが治るということではありませんが、リスクを減らすことを期待するなら、こういった食品をオススメするという意味です。
はじめに
今回は、がんの発症リスクまたは死亡リスクを下げる食品ということで、全部まとめて紹介します。
注意していただきたいのは、基本的には、特定の食べものや飲み物で、がんの予防ができたり、がんが治る(あるいは小さくなる)という質の高いエビデンスは存在しないということです。
ただ少なくとも、大規模な観察研究で、がんの発症リスクや死亡リスクが下がることが報告されている食品を集めました。
もちろん、これを食べればがんにならないとか、がんが治るということではありませんが、リスクを減らすことを期待するなら、こういった食品をオススメするという意味です。
というわけで、早速いってみましょう。
がんのリスクを下げるたべもの
野菜とフルーツ(くだもの)
まずは、野菜とフルーツですね。
これは、がん全般のリスクを下げることが分かっていますが、とくに消化器のがん(食道がんとか胃がん、大腸がん)のリスクが低下することが報告されています。
フルーツに関しては、ドライフルーツも、すい臓がんや前立腺がんのリスクを下げるそうです。
野菜のなかでも、とくに、アブラナ科の野菜がおすすめです。
このアブラナ科野菜には、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、大根、小松菜、白菜、チンゲン菜、芽キャベツなどがあります。
とくに、ブロッコリーの芽である、ブロッコリースプラウトには、強い抗がん作用をもつスルフォラファンという成分がたくさん含まれています。
最近では、スーパーで買えるようになりましたので、サラダなどで食べるといいと思います。
次に、アリウム属の野菜です。
このアリウム属には、ニンニク、タマネギ、ネギ、ニラなどがあります。匂いの強い野菜ですね。
とくに、ニンニクは、アメリカのがん予防のための食品である「デザイナーフーズ」の頂点に位置する食べものとして知られています。
また、ニンニクを発酵させてつくる黒にんにく(発酵ニンニク)には、免疫を活性化する作用があるとのことです。
豆類
それから、豆類ですね。
豆類は、大腸がんをはじめ、色々ながんのリスクを下げるという報告があります。
豆類のなかでも、とくに大豆がいいようです。大豆食品を摂ることで、胃がん、大腸がん、卵巣がんなどの死亡リスクが低下すると報告されています。
また、大豆を多くとっていた女性では、乳がんによる死亡リスクが低かったということです。
きのこ類
次に、きのこ類です。
きのこ類には、食物繊維のひとつであるβグルカンという成分が含まれていて、免疫を活性化することで、がんの予防につながるといわれています。
じっさいに、きのこ類をたくさん食べる人では、乳がんや前立腺がんのリスクが低かったという研究結果もあります。
肉よりも魚
がんのリスクという点では、肉よりも、魚に軍配が上がります。
とくに、さばやさんま、イワシなどの脂ののった青魚を食べる人では、すい臓がんなどのリスクが低くなっていたという報告があります。
ちなみに魚は、缶詰でもいいようで、ある研究では、魚の缶詰を多く食べる人では大腸がんのリスクが低かったということです。
肉に関しては、牛肉や豚肉、加工肉(ベーコン、ソーセージやハム)よりも、鶏肉のほうがいいようです。
これは、おもに海外からの観察研究で、加工肉や、牛や豚肉といった赤肉を食べ過ぎると、大腸がんなどのリスクが高くなるという研究があるからです。
ただ、日本人ではそんなに大量に肉を食べる習慣はありませんので、あまり気にしなくてもいいかもしれません。
脂肪酸
食用油に関しては、がんのリスクを下げる油はオメガ3脂肪酸とオメガ9脂肪酸です。
オメガサンキューと覚えましょう。
オメガ3脂肪酸には、動物性と植物性がありますが、さきほどの魚の油(フィッシュオイル)に多く含まれるのが、海洋性オメガ3脂肪酸です。
ご存じのように、DHA、EPA、DPAが含まれていて、炎症をおさえる作用があることから、がんの予防効果があるといわれています。
一方、植物性のオメガ3脂肪酸は、αリノレン酸で、これは、アマニ、えごま、なたね、くるみなどに含まれています。
そして、オメガ9脂肪酸のオリーブオイルです。これは、健康的な食事の代表である「地中海食」で多く摂取する油として有名です。
乳がんをはじめ、色々ながんのリスクを下げることが報告されています。
ナッツ類
それから、ナッツですね。
とくに木になるツリーナッツ(ピスタチオ、カシューナッツ、くるみ、アーモンドなど)を多く食べる人では、がんのリスクが40%も低くなるそうです。
ヨーグルト
ヨーグルトも、がんのリスクを下げる食べものです。肺がんのリスクがおよそ2割減るという報告があります。
乳製品に関しては、相反するデータが出ていて、とくに、牛乳や高脂肪の乳製品ががんのリスクを高めるという一部の研究もありますが、ヨーグルトに関しては、リスクを下げるという見解でいいようです。
ダークチョコレート
意外なところでは、チョコレート(これは、ポリフェノールが豊富なブラックチョコレート)にも、がんのリスクを下げる効果があるということです。
ただ、砂糖がたくさん入った甘いチョコレートは、逆にがんのリスクを高める可能性があります。
コーヒー
最後に、コーヒーです。
コーヒーには、がんのリスクを下げる効果があると報告されています。
とくに、肝臓がんや頭頸部がん、食道がん、子宮がんなどのリスクを減らすということです。
ちなみに、よく質問をいただくのですが、
まずブラックがいいのか、砂糖入りでもOKか、という質問です。これに関しては、砂糖入りの場合、ある程度の量であればがんのリスクが下がるということですが、多すぎると、逆にがんのリスクが高くなる可能性があります。
次に、インスタントでもOKか、という質問です。
これは、インスタントコーヒーでも、同じような効果があったということです。
カフェインについては、カフェイン入りでもカフェイン抜きでも、どちらでも、がんのリスクを下げる効果があると報告されています。
1日何杯がいいのか?ということですが、3杯以上飲むと、がんのリスクがかなり下がるということです。
ただし、なんでもそうですが、飲みすぎると健康を害する可能性もありますので、ほどほどに楽しみましょう。
というわけで、がんのリスクを下げる食品 総まとめ、というお話でした。
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