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「朝食ぬき」でがん死亡リスクはどうなる?研究結果を紹介

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一日のスタートとして「朝ごはん」を毎日しっかりと食べることは、健康を維持するうえで大切といわれています。一方で、朝食とがんとの関係についてはわかっていません。今回は「朝食抜き」とがん死亡リスクとの関係についての研究を紹介します。

はじめに

皆さんは、「朝ごはん」をしっかりと毎日食べる、あるいは、食べない、のどちらでしょうか?

「朝は忙しいから」、あるいは、「食欲がないから」という理由で、朝食抜きの人もいらっしゃると思います。

朝食は一日のスタートとなる食事で、最もエネルギー・栄養が必要な時間帯ということで、朝食を食べることは、健康を維持する上で重要だと言われています。

朝食抜きの健康への影響として、体重増加(太ること)、脂質異常症、高血圧、糖尿病、あるいは、心血管病のリスクが高まることが報告されています

さらに、朝食抜きの人は、早死にするという研究結果もあります。

過去の研究によると、朝食をとらない人は、毎日とる人に比べて、全死亡リスク(すべての死因による死亡リスク)が高くなることがわかっています。

一方で、朝食摂取の有無と「がん」との関係については、これまでほとんど研究がなく、よくわかっていません。

今回、朝食抜きとがんによる死亡リスクとの関係を調べた研究結果を紹介します。

朝食抜きとがん死亡リスクとの関係

昨年2021年に、Cancer Causes Control という雑誌に報告された論文です。

40歳以上のアメリカ人の成人7,007人を対象とした観察研究で、朝食を食べる頻度とがんおよびすべての死因による死亡率との関係を調査したものです。

22年間の観察期間中に、3,573人が亡くなっており、このうち、がんによって死亡した人が795人でした。

朝食を食べるかどうかをインタビューで調査したところ、全体の参加者のうち、朝食を毎日食べている人は61%、ときどき、あるいは週末だけ食べている人は23%、そして、めったに食べない人(つまり、朝食ぬき)が16%でした。

朝食ぬきの人は、どんな人かというと、より年齢が若く、喫煙者に多く、肥満が多く、身体活動量が少なく、また、コレステロール値が高い傾向にありました。

つまり、不健康な生活習慣の人に多くみられたということです。

そこで、朝食だけの影響を調べるために、がんによる死亡に影響を与えると考えられる他の因子(社会人口学的背景、喫煙、身体活動量、体格(BMI)、高血圧、糖尿病、コレステロール値、総エネルギー摂取料、および食事の質)について調整したモデルで、朝食ぬきとがんによる死亡との関係を解析しました。

その結果、朝食を毎朝たべる人に比べて、朝食ぬきの人では、がんによる死亡リスクが52%上昇しており、また、すべての死因による死亡リスクは69%も上昇していました。

さらに、ときどき(週末だけなど)朝食を食べる人でもがんによる死亡リスクが65%も上昇していました。

以上の結果から、朝食抜きは、がんのリスクを高める可能性があると結論づけています。

ちなみに「朝食ぬき」に関しては、日本人を対象とした同様の研究が報告されています。

この結果では、朝食を抜くことと、んによる死亡リスクとの関係ははっきりしなかったとのことですが、がんも含めた全体の死亡リスクが30~40%高くなっていたとのことです。

最後に、朝食を毎日食べることは大切ですが、同時に、当然ですが、どういったものを食べるかも重要ですよね。

前回、「がんのリスクが高まる朝食」ということで、菓子パン、砂糖入りの缶コーヒー、フルーツ缶をあげましたが、これだけが悪いわけではなく、栄養のバランスを考えてとってほしいと思います。

理想的な朝食は、やはり、和食だと思います。

和食には、味噌汁、シャケ、野菜の煮付け、豆腐など、タンパク質、大豆食品、食物繊維が豊富ですね。

 

味噌汁でがんを撃退

 

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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。

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