食事の内容(食べ物)によってがんのリスクが高くなったり低くなることはわかっていますが、今回は、食事のタイミング(いつ食べるか)もがんの死亡リスクに影響するという研究結果を紹介します。
はじめに
みなさんは、何時に朝食をとって、何時に昼食をとって、そして何時に夕食をとっていますか?
毎日の生活における食事のタイミング(つまり、何時に食べるか)は、その人の生活スタイル、あるいは仕事や家庭の状況などによって大きく影響を受けるため、人によって大きく違います。
決まった時間に食事をとる人もいるでしょうし、毎日、食事の時間がバラバラの人もいるでしょう。
食事の内容(食べものや飲みもの)ががんのリスクを高くしたり、低くすることは、多くの研究から明らかになってきました。
一方で、食事のタイミングとがんとの関係については研究が少なく、よくわかっていません。
そこで、今回は、食事のタイミングとがんとの関係について調査した研究を紹介します。
今年の5月に、Frontiers in Nutrition という雑誌に報告された論文です。
スウェーデンの縦断研究で、ある地域に住む高齢男性を対象として、1週間にわたって、食事内容や食事の時間などに関する詳しい調査を行いました。
そして、食事のタイミングと、がんによる死亡率との関係を解析しました。
この研究では、食事のタイミングとして、おもに2つの時間について、がん死亡率との関係を調べました。
ひとつめは、Daily Eating Interval、これは1日の最初の食事から最後の食事までの間隔(つまり、朝食から夕食までの時間)についてです。
もうひとつは、Day-To-Day Variability、つまり、日々の食事時間の変動(日によってどのくらい食事の時間がズレるか)についてです。
まずは、朝食から夕食までの時間とがん死亡リスクとの関係についてです。
朝食から夕食までの時間がもっとも短いグループ(平均11時間)に比べて、もっとも長いグループ(平均13時間)では、がんによる死亡リスクが2.3倍になっていました。
つまり、朝食を早く食べて、夕食は遅い人(逆にいうと、夜間の絶食時間が短い人)のほうが、がんで亡くなるリスクが高くなるということです。
次に、日々の食事時間の変動とがん死亡リスクとの関係です。
日々の食事時間の変動が、もっとも長いグループ(48分から74分:およそ1時間くらいですね)では、もっとも短いグループ(23分)に比べて、がんによる死亡リスクが2.2倍になっていました。
すなわち、日々の食事時間の変動が大きい人(極端に言うと、毎日の食事時間がバラバラの人)では、がんで亡くなるリスクが増えるという結果です。
以上まとめますと、一日の最初の食事から最後の食事までの時間が長い人、日々の食事時間の変動が大きい人では、がんによる死亡リスクが高くなるということでした。
がんを予防するベストの食事タイミングとは?
この結果に基づいて、がん予防のための提案としては、まず朝食は遅めの時間にとって、 夕食は早い時間にとることです。
そうすることで、朝食から夕食までの時間は短くなって、夜間の絶食時間が長くなります。
例えば、朝9時に朝食、そして、午後8時に夕食を食べるというパターンだと、朝食から夕食までの時間は11時間となります。
次に、毎日、できるだけ同じ時間に食事をとるようにしましょう。
もちろん食事のタイミングは、その人の生活スタイル、あるいは仕事や家庭の状況などによって制限されますが、可能な範囲でがんばってみてください。
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