「がんに効く」「がんが消える」という噂のサプリメント(健康食品)は未だに販売されています。よくネットで目にするサプリメントのうち、人での効果についてのエビデンスがなく(あるいはエビデンスレベルが低く)、信憑性の低いものを5つ紹介します。
はじめに
「がんに効く」、あるいは、「がんが消える」というサプリメントは未だに多く販売されています。
また、患者さんの親戚や知り合いからすすめられることもあると思います。
がんと診断されて、「できることは何でもしたい」と思っている患者さんにとって、こういったサプリメントに走る気持ちはよくわかるのですが、実際には、効果がないものがほとんどと言えます。
今回は、よくネットで目にするサプリメントのうち、信憑性の低いものを5つ紹介します。
注意:わたし個人の調べた範囲での評価ですので、鵜呑みにせずに、ひとつの判断材料として参考にして頂ければと思います。
信憑性が低いサプリメントとは?
信憑性が低いというのは、まず、「がんに効く」という人でのエビデンス(科学的根拠)がない、または、(たとえあっても)エビデンスレベルが低いということです。
少なくとも、ランダム化比較試験などの信頼できる臨床試験が報告されていませんし、細胞実験・動物実験から数名の症例報告や免疫のマーカーを測定しただけの研究にとどまります。
また、広告が多いということと、(非常に)高価ということも、信憑性が低いサプリメントの判断材料になります。
では、信憑性が低いサプリメントを5つ紹介します。
がんへの効果に信憑性が低いサプリメント5種
1.アガリクス
ハラタケ属のキノコの1種で、免疫賦活作用からがん予防・抗がん作用があるとして、日本では健康補助食品として広く服用されています。
ただ、実際には、研究論文をしらべてみましたが、人での効果を証明するような結果は報告されていませんでした。
2.メシマコブ
タバコウロコタケ科のキノコということで、これも、がんに効くサプリメントとして販売されています。
一部の研究では、免疫機能を増強するということは示されているようですが、実際に、がんに効くというエビデンスはありませんでした。
3.霊芝(れいし)
マンネンタケ科の一年生のキノコということです。
霊芝についても、「免疫力を高める」とか「がんを予防および抑制」など様々な効能を謳った健康補助食品が販売されていますが、人での有効性については信頼性のおける十分なデータがありません。
4.シイタケ菌糸体
シイタケの通常食べるところではなく、下の菌糸の部分だそうです。
シイタゲンとかいう名前で、サプリメントとして、小林製薬から販売されています。
別に小林製薬にうらみがあるわけではありませんが、このシイタケ菌糸体も、がんに効くというエビデンスはありません。
5.チャーガ (カバノアナタケ)
タバコウロコタケ科に属するきのこの1種です。
チャーガも、免疫機能を活性化したがんに効くサプリメントとして、販売されています。
ところが、がんに効くという人でのエビデンスはありません。
こういったキノコ類には、βグルカンという多糖類が豊富に含まれているので、たしかに、免疫機能を活性化する効果は期待できるかもしれません。
ただ、こういったサプリメントに頼らずに、ふつうにキノコ類を食べる方が、いいと思います。
効果なサプリメントはがんビジネス(詐欺)の可能性あり
2018年には、「全分子フコイダンエキス」といった高額なサプリメントを販売していたシンゲンメディカルという会社の社長らが逮捕されました。
これ以降、怪しげな「がんに効く」と謳ったサプリメントの広告は減りましたが、いまだに、販売サイトがなくなりません。
基本的に、高額なサプリメントは、がんビジネスと考えていいと思います。
高ければ効くというわけではありませんので、注意が必要です。
以上、信憑性が低いサプリメント5つでした。
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