パンを食べるとがんになるという話を聞いた人もいるかもしれません。「乳がん患者の8割は朝、パンを食べている」といった本もでていて、気になっている人も多いでしょう。はたして、パンをたべると癌になるんでしょうか?研究結果を解説します。
はじめに
皆さんのなかには、朝食にパンを食べている人も多いと思います。
ただ、これまでに、パンを食べるとがんになるという話を聞いた人もいるかもしれません。
なかには、「乳がん患者の8割は朝、パンを食べている」といった本もでていて、気になっている人も多いでしょう。
はたして、パンをたべると癌になるんでしょうか?
今回はパンとがんとの関係について調べてみました。
パンとがんについての研究
まず、日本人を対象とした、パンとがんとの関係を調査した研究を探しましたが、パンだけの影響を調べた研究はありませんでした。
ただ、ひとつ、国立がんセンターによる、パンを含めた、食事のタイプと乳がんとの関係を調べた研究はありました。
この研究では、パンをふくむ欧米型の食生活は乳がんのリスクを32%も高めるということを報告しています。
ただし、この研究では、肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品、魚介類などを多く摂取するタイプの食事を「欧米型」としています。
ですから、パン以外の食べ物の影響もじゅうぶん考えられるわけです。
では、海外からの報告はどうでしょうか?
いろいろな研究結果があって、一概には言えませんが、「パンそのもの」がいけないのではなく、精白した穀物(たとえば、パンであれば真っ白な食パン、お米であれば白米)が、がんのリスクを高めるということで、逆に、精白していない全粒穀物・全粒粉(ホールグレイン)はがんのリスクを低下させるというのが、一般的な見解です。
ひとつ世界中の研究をあつめて、総合的に解析した論文を紹介します。
2016年にBMJという雑誌に報告された論文です。
この研究は、過去に報告された45の研究をまとめたメタ解析という大規模で信頼できる研究で、精製していない全粒穀物の摂取量と、がんを含めた死亡リスクとの関係を調査しました。
その結果、全粒穀物の摂取量が多い人では、すべてのがんの死亡リスクが低下していました。
また、摂取量が多いほど、リスクが低下していたとのことです。
例えば、1日に90グラムの全粒穀物(パン2枚とシリアル1ボウル)が増えるごとに、がんのリスクが15%減少していたということです。
同時に、全粒穀物の摂取量が多い人では、がんだけでなく、脳や血管の病気による死亡リスクも低下していました。
以上の結果から、全粒穀物・全粒粉を食べると、むしろがんが減るという結果です。
まとめ
ですので、一概に、パンがいけないということではなく、真っ白な食パンあるいは精白した穀物ががんのリスクを高める可能性があるということです。
ですから、パンが好きな人は、全粒粉のパンをおすすめします。
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