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大腸がんリスクを60%も減らす〇〇〇油:日本人での研究

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日本人を対象とした大規模な研究によって、大腸がんのリスクをおよそ60%も低下させる油がわかりました。それは、アマニ油、エゴマ油などに含まれる、α(アルファ)リノレン酸(植物性のオメガ3脂肪酸)です。

sはじめに

今回は、日本人での研究からわかった、「大腸がんのリスクを大きく低下させる油」についてです。

大腸がんは、日本では、増加の一途をたどっているがんの1つで、食事などの生活習慣に関連したリスク要因があるため、ふだんからの予防がとても大切です。

食事のなかでは、油(脂肪酸)が重要であることがわかっています。

これまでの動画でもお伝えしてきましたが、がんのリスクを高める油と、がんのリスクを低下させる油があります。

たとえば、がんのリスクを高める油として、バターやラードなどの飽和脂肪酸があります。

一方で、がんのリスクを低下させる油には、一価不飽和脂肪酸のオリーブオイル、そして、海洋性オメガ3不飽和脂肪酸のフィッシュオイル(EPAやDHA)があることをお伝えしました。

とくに、海外からのデータでは、海洋性のオメガ3脂肪酸を多くとっている人は、大腸がんのリスクが低くなることがわかっています。

そして今回、日本人を対象とした大規模な研究によって、あらたに、大腸がんのリスクを低下させる油がわかりました。この研究を紹介します。

植物性のオメガ3脂肪酸(αリノレン酸)による大腸癌のリスク低下

2022年の8月に、Cancer Med という雑誌に報告された論文です。

40歳から79歳までの日本人42,536人を対象として、14年ちかく追跡調査を行った観察研究です。

くわしい食事内容の調査から、不飽和脂肪酸のなかでもオメガ3脂肪酸に注目して、トータルのオメガ3脂肪酸の摂取量、海洋性オメガ3脂肪酸(EPA、DPA、DHAの合計)の摂取量、そして、植物由来のオメガ3脂肪酸としてαリノレン酸の摂取量を推定しました。

これらのオメガ3脂肪酸の摂取量と大腸がんの発症率との関係を解析しました。

大腸がんは、近位大腸がん(小腸に近い大腸)、遠位大腸がん(小腸から離れている大腸)、直腸がんの3つの部位に分けて、それぞれの部位部の発症率との関係も検討しました。

結果ですが、海洋性オメガ3脂肪酸の摂取量と大腸がん(全体および部位別)の発症リスクとの間に、あきらかな関係はみられませんでした

一方で、αリノレン酸の摂取量がもっとも多いグループでは、最も少ないグループに比べて、遠位大腸がん(具体的には左側の結腸で、下行結腸がんとS状結腸がん)のリスクがおよそ60%も低下していました

以上の結果より、日本人では、海洋性よりも植物性のオメガ3脂肪酸のほうが、大腸がんの予防効果が期待できるという結果でした。

αリノレン酸が豊富に含まれている食べもの・油

ちなみに、αリノレン酸が豊富に含まれている油や食べものには、アマニ油、エゴマ油、なたね油、くるみなどがありますが、このうち、アマニ油とエゴマ油がダントツでαリノレン酸が多く含まれています。

私は、アマニ油やエゴマ油をサラダのドレッシングとして野菜にかけたり、コーヒーに直接入れて飲んだりしています。

クセがなくて、何にでも合いますので、試してみてもいいと思います。

 

#がん予防 #αリノレン酸 #オメガ3脂肪酸 #大腸がん #体にいい油

  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。

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