がん治療において、あなたが使っている「ことば」はとても大切です。治療は、いつも期待通りにいくわけではありません。効果がでないことや、望まない副作用や後遺症がでることもあります。期待が大きければ大きいほど、落胆も大きくなります。こういうときは「もうダメだ」とネガティブな言葉ばかりが出るものです。その言葉をポジティブなことばに変えてみませんか?
はじめに
がんの治療は、いつも期待通りにいくわけではありません。
効果があまりでないということもあるかもしれません。
望まない副作用や後遺症がでたりすることもあります。
期待が大きければ大きいほど、落胆も大きくなります。
こういうときは、当然ですが、すべてのことにネガティブになってしまって、今後のこともすべて上手くいかないと考えてしまいがちです。
ただ、その時に、ちょっとしたことなんですが、使う言葉がとても重要だと思います。
つまり、ネガティブな言葉を、無理矢理にでもポジティブな言葉にかえてほしいんです。
ネガティブな言葉をポジティブな言葉に変える重要性
たとえば、治療がうまく行かないとき、「きついばかりで、ぜんぜん効かなかった」、「もうダメなんだ」という言葉が頭にうかんできたら、「大丈夫、きっとうまくいく」、「他にもっといい治療があるはず」、「自分には奇跡がおこる」と言いかえてほしいんです。
「そんなことで、何も変わるはずはない」と思われるかもしれませんが、言葉はとても重要です。
少しスピリチュアルな話に感じるかもしれませんが、ネガティブなことを言い続けたり、「望まないこと」ばかりを考えていると、それが現実になることが、脳科学的にも証明されているそうです。
『自動的に夢がかなっていくブレイン・プログラミング』によると、脳には入ってくる情報をふるいわけて、意識を向ける優先順位を決定する、網様体賦活系、通称、RASという仕組みがあるといいます。
ネガティブな言葉を言いつづけると、RASはそのネガティブなことを探し続けることになります。その結果、まさに最悪の事態が引きおこされるというわけです。
逆に、ポジティブな言葉を使って、「望むこと」だけを考えると、RASは「望むこと」が現実になるまで全力で探し続けるそうです。
実際に、この本の著者の1人、アラン・ピーズは、47歳のときに進行性の前立腺ガンと診断されます。手術でガンがすべて取りきれず、医師から「余命は約3年で、生き残る人はわずか3%」と言われたそうです。
しかし、彼は「先生、私はその3%のグループに入ることにします!」と宣言し、RASにがんが治った自分を書き込みます。その結果、彼はがんを克服し、今まで16年間以上も生きることができたということです。
たとえ進行がんで、統計的には生存率が低いとしても、生き残ると脳をプログラミングすることで現実になることを、自ら証明してみせたわけです。
これは、べつに現実から逃避するということではありません。
自分の病状を冷静に、客観的に理解することは大切です。ただ、人間のからだは自分でも理解できないくらい複雑です。
例えば、「標準治療をやめたら、がんは進行するもの」と決めつけていると思いますが、そうとは限りません。
患者さんによっては、標準治療を中止してからも、がんが進行しないで、休眠したような状態になることもあります。
「ものごとは、確率が高いほうがぜったい起こる」と考えがちですが、100%でないかぎり、確率が低いほうも起こる可能性があります。
この種類のがんの、このステージで、標準治療が終了したら、90%の人は1年以内に死亡するという統計があったとしても、10%の人は1年をすぎても生きているわけです。
主治医の言葉を自分で言い換える
主治医によっては、無神経に「ぜんぜん効いてないですね」「この薬はダメでしたね」というようなネガティブな言葉を患者さんに言ってしまう可能性があります。
このような場合にも、主治医のことばを真に受けずに、自分のなかでポジティブなことばを探してください。
「もう使える標準治療はありません」と言われたら、「自分は標準治療は卒業」ととらえて、言い換えてください。
私は、患者さんには、治療によって期待した効果が得られなかった場合、「この治療は効いてないですね」ではなく、「少しは効いていると思いますが、がんのいきおいのほうが強いようですね」あるいは、「もっと効果が期待できる他の治療をさがしましょう」、「治療をやめても、がんが大きくなるとは限りません」という具合に声かけをするようにしています。
こういった、ちょっとした「言葉」ですが、とても大切だと実感しています。
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