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あの「缶詰(かんづめ)」でがんのリスクが下がる?「セブンイレブンの抗がん食品」は本当だった?魚の缶詰と大腸がん発症について最新の研究より

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缶詰と聞くと、あまり健康的なイメージはないと思いますが、じつは「魚の缶詰が大腸がんの発症率低下と関係していた」という最新の研究結果が報告されました。サバ缶やオイルサーディンなどでがんのリスクが下がるというのは、ちょっと驚きです。

はじめに

今回は、ある缶詰と、がんのリスクとの関係についてのお話です。

缶詰と聞くと、あまり健康的なイメージはないと思いますが、じつは、魚の缶詰ががんのリスク低下と関係していた、という最新の研究結果を紹介します。

一般的に、魚はがんのリスクを低下させる食べ物として知られています。

これまでの研究では、魚あるいは、魚からの海洋性オメガ3脂肪酸(DHA、EPA、DPA)を多く摂取している人は、乳がん、肺がん、大腸がん、膵臓がんなど、さまざまながんの発症リスクが、10~30%低下することが報告されています。

ただ、魚をさばいて料理するのは手間がかかります。

一方で、缶詰はすぐに食べたり、料理に使うことができますので、魚の缶詰を利用している人もいらっしゃると思います。

わたしも、魚の缶詰は好きな方で、オイルサーディンとか、サバ缶・サンマ缶などを、ときどき食べています。

では、素朴な疑問として、魚の缶詰を食べると、がんのリスクが高くなるのか、あるいは、低くなるのでしょうか?

というわけで、魚の缶詰とがんとの関係について調査してみました。

魚の缶詰でがんのリスク低下

今年の4月にNutrientsという雑誌に報告された論文です。

イタリアで行われた2つの大規模なケースコントロール研究をまとめて、魚の缶詰の摂取と大腸がんのリスクとの関係を調査した研究です。

合計で、2419人の大腸がんの患者さんと、4723人のがんではない入院患者さんが対象となりました。

魚の缶詰の摂取量について、週に1個未満、1~2個、2個以上の3つに分類して、大腸がんのリスクとの関係を調査しました。

もちろん、他の大腸がんのリスクに関連する因子がありますので、そういった因子の影響をできるだけ減らすために、性別、年齢、BMI、教育の程度、身体活動量、喫煙、アルコールの摂取、野菜やフルーツの摂取、カロリーの摂取量、そして、新鮮な魚の摂取量などの複数の因子で調節したモデルにおいて、魚の缶詰の摂取量と大腸がんのリスクとの関係を解析しました。

その結果、魚の缶詰の摂取量が、週に1個以下のグループに比べて、1~2個のグループでは大腸がんのリスクが19%、さらに2個以上のグループでは34%も低下していたとのことです

以上の結果から、魚の缶詰の摂取は、大腸がんのリスクを下げるという結果です。

もちろん、海外での研究ですし、ケースコントロール研究という特性上、エビデンスのレベルは低いと考えられます。

とはいえ、ひとつのデータとして、素直に評価したいと思います。

まとめ

缶詰の魚でも、がんの予防につながる可能性があると考えられます。というわけで、便利な魚の缶詰も上手に利用しましょう。

とくに、オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)が多く含まれているという表示の商品もありますので、こういった缶詰もいいですね。

ただ、注意してほしいのは、何でもそうですが、体にいいからといって食べすぎはよくありません。

魚の缶詰に限らず、缶詰には保存が利くように添加物が加えられていますので、摂取し過ぎると健康に悪影響をおよぼすリスクもゼロではありません。

ですから、可能であれば、魚をそのまま食べるのがベストですし、缶詰も食べ過ぎないようにしましょう。

 

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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。

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