がんのサイン・症状には、出血やしこり、痛みといった、わかりやすいものから、とてもがんと結びつかないような思いもよらないサインもあります。今回は、放置すると危険な、意外ながんのサインを3つ紹介します。
はじめに
がんのサイン・症状には、出血やしこり、痛みといった、わかりやすいものから、意外な症状まで、色々なものがあります。
なかには、とてもがんと結びつかないような、思いもよらないサインもあります。
じっさいに、「まさかがんの症状とは思わなかった」ということで、受診がおくれて、がんが進行してしまうケースも経験します。
ですから、こういった、意外ながんのサインを知っておくことも重要です。
というわけで、今回は、意外ながんのサインを3つ紹介します。
意外ながんのサイン3つ
1.嗄声(声のかすれ)
まずは、嗄声(声のかすれ)です。
よく、風邪を引いたり、カラオケなどで、大声で歌った後では、声がかすれることがあります。
この声のかすれの原因には、色々あって、原因がはっきりしている場合や、とくに一過性の場合、心配ないことがほとんどです。
ただ、声のかすれが持続する場合、あるいは、徐々に悪化する場合には、がんのサインのことがあります。
たとえば、甲状腺がん、食道がん、肺がんなどで嗄声がみられることがあります。
これは、がん自体や、がんが転移したリンパ節が、反回神経という声帯をうごかす神経を圧迫したり、巻き込んだりすることが原因です。
この場合、声のかすれ以外にも、飲み込んだときのむせとか、喉の痛みを伴うことがあります。
はっきりした原因もなく、声がかすれて、なかなか元にもどらない場合などには、がんの可能性もありますので、放置せずに、かかりつけ医や耳鼻咽喉科の病院を受診しましょう。
2.盗汗(ひどい寝汗)
寝汗をかく人は結構いらっしゃると思いますが、大量に発汗する場合には注意が必要です。
たとえば、「暑くもないのに、シーツを替えなければいけないほど汗が出る」という具合です。
というのは、ひどい寝汗は、悪性リンパ腫や白血病の症状のことがあるからです。
とくに、悪性リンパ腫の診断では、リンパ節の腫れに加えて、発熱、盗汗、体重減少の3つのサインが有名です。
この盗汗の原因はまだ完全には解明されていませんが、リンパ腫の腫瘍細胞からでてくる炎症を引き起こす物質によって、発熱や寝汗が引き起こされると考えられています。
というわけで、ひどい寝汗はがん(悪性リンパ腫)のサインのことがありますので、注意してください。
3.うつ症状
最後は、「うつ症状」です。
うつ症状が、まだ、がんと診断される以前から出現するサインというのは、ちょっと意外に感じるかもしれません。
がんと診断された患者さんが、ショックを受けて、うつや不安、食欲不振、不眠など精神症状が引き起こされることは、ご存じだと思います。
一方で、じつは、がんの診断前に、こういったうつなどの精神症状が出現することも、以前から報告されていました。
ひとつ研究結果を紹介します。2018年にPancreasという雑誌に報告された論文です。
すい臓がん患者における精神的症状についての研究をまとめて解析した結果、全体のおよそ30~50%の膵臓がんの患者が、がんと診断される前に、うつなど精神的な症状を自覚していたということです。
この他にも、30万人以上のさまざまな種類のがん患者を対象とした研究では、うつ病などの精神疾患と診断される率が、がんと診断されるおよそ10ヶ月前から増加し始め、診断直前まで上昇することがわかりました。
したがって、うつ症状などの精神症状の出現は、すい臓がんに多いと言われていますが、基本的には、どの種類のがんでも出現する可能性があります。
どうして、がんになると、うつ症状がでるのでしょうか?
まだはっきりとは分かっていませんが、ひとつの可能性として、がんに伴う炎症が関係しているようです。
つまり、がんは炎症を引き起こすので、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が血液中に分泌されます。この物質が、脳の視床下部に作用して、うつ症状、食欲低下、睡眠障害などの精神症状を引き起こすと考えられます。
意外ですが、「うつ症状」もがんのひとつのサインといえます。
まとめ
まとめますと、嗄声(声がれ)、盗汗(ひどい寝汗)、うつ症状の3つが、意外ながんのサインでした。
こういった症状は、がんの可能性を考えると、やはり放置は危険です。
とくに長引く場合には、かかりつけ医や、がんの検査ができる病院を受診することをおすすめします。
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