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健康的な100%フルーツジュースでがんが増える?果糖(フルクトース)とがんとの関係

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がんの予防の点からは、フルーツジュースは問題ないのでしょうか?じつは、意外な落とし穴がありました。今回は、フルーツジュースとがんとの関係について、過去の研究を調査しました。

はじめに

フルーツジュース、とくに「100%」と聞くと、なんとなく健康的なイメージがありますね。

朝はフルーツジュースを飲む習慣がある人もいるでしょう。

少なくとも、コーラなどの砂糖の入った清涼飲料水よりは体によさそうな気がしますし、スーパーやコンビニなどで普段の飲み物として100%フルーツジュースを選ぶ人も多いと思います。

では、がんの予防の点からは、フルーツジュースは問題ないのでしょうか?

じつは、意外な落とし穴がありました。

今回は、フルーツジュースとがんとの関係について、過去の研究を調査しました。

というわけで、今回の動画の内容です。

1.フルーツジュースとがんリスクとの関係
2.がん診断後のフルーツジュースの影響は?
3.フルーツジュースの何が悪いのか?

以上の3点についてお話します。

1.フルーツジュースでがんのリスク増加

最初に、フルーツジュースとがんとの関係ついて、フランスから報告された大規模な前向き研究を紹介します。

2019年にBMJ(ブリティッシュメディカルジャーナル)という雑誌に報告された論文です。

10万人以上の成人男女(平均年齢42歳)を対象として、詳細な食事内容のアンケート調査を行い、がん発症リスクとの関連を調査しました。

その結果、100%フルーツジュースを最も多く飲む人では、ほとんど飲まない人に比べて、すべてのタイプのがんのリスクが14%増加していたとのことです。

ただ、フルーツジュースよりもっと悪いのが、やはり、甘い砂糖入り飲料で、1日当たりわずか100ml多く摂取することで、がん全体の発症リスクが18%上昇していました。

2.がん診断後のフルーツジュースの影響

次に、がん診断後のフルーツジュースの影響についてです。じつは、フルーツジュースについては、がん患者さんの生存率を低下させるという気になる報告もあります。

2020年にキャンサーリサーチに掲載された論文です。

アメリカにおける8,927人の乳がん患者さんを対象として、がん診断後の食事と生存率との関係を調査した前向き研究です。

がん診断後にフルーツジュースをもっとも多く飲んでいた患者さんでは、乳がんによる死亡リスクが33%も増加しており、全ての死因による死亡リスクも19%増加していました

ちなみに、ジュースの種類としては、アップルジュースが生存率の低下と関連しており、オレンジジュースは関係なかったということです。

3.フルーツジュースの何が悪いのか?糖の種類におけるがんリスクとの関係

では、フルーツジュースの何ががんに悪いのでしょうか?

答えは、果糖(フルクトース)です。

糖は、単糖類と二糖類に分類され、二糖類にはショ糖と乳糖、単糖類にはぶどう糖(グルコース)と果糖(フルクトース)があります。

このように、糖にも色々な種類がありますが、どの糖が一番がんのリスクを高めるのかを調査した研究があります。

2021年に Clinical Nutrition という雑誌に報告された論文です。

スペインでの高齢者7000人以上を対象として、様々な糖の摂取量と、がん発症リスクとの関係を調査した研究です。

食べもののアンケート調査から解析した糖のタイプは、固形または液体のすべての糖、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、そして、フルーツおよび100%フルーツジュースからの果糖です。

その結果、固形の糖は、全ての糖、ブドウ糖、果糖ともに、がんのリスク増加はみられませんでした。

一方で、液体の糖は、がんの発症リスクが増加しており、1日あたり5g摂取量が増える毎に、がんのリスクが増える割合は、液体のすべての糖が8%、液体のブドウ糖が19%、液体の果糖が14%。

そして、最もがんのリスクが高かったのが、フルーツジュースからの果糖で、39%も高くなっていました

つまり、液体の果糖、しかも、フルーツジュースからの果糖がもっともがんのリスクを高くするという結果です。

フルーツジュース中の果糖の量は?

フルーツジュースにはどのくらいの果糖が含まれているのでしょうか?

たとえば、りんごジュース(ストレート果汁)には、100gあたり2.5gの果糖がふくまれています。

果物をまるまる1個食べるのは結構大変ですが、フルーツジュースなら500mlくらい簡単に飲めてしまいます。

フルーツジュースをペットボトル1本分500ml飲んだら、10g以上の果糖を摂取することになります

さらに、果汁100%未満の「果汁入り飲料」や「濃縮還元ジュース」では、本来の果汁に入っている果糖に加えて、さらに「コーンシロップ」あるいは「果糖ブドウ糖液糖」という(50%以上90%未満の)高い濃度の果糖が含まれています。

ですので、やはりフルーツジューの成分で一番問題なのは、果糖のようです。

まとめ

以上の結果より、フルーツジュースには果糖が含まれており、とりすぎると、がんのリスクを高めるおそれがあります。

一般的に、果物の摂取は、がんを予防するという研究報告がありますので、ジュースにせずにそのままいただきましょう。

果汁だけのジュースになると、食物繊維や皮のところの重要な栄養素(たとえば、ポリフェノール)などがなくなってしまうことで、メリットが失われてしまうと考えられます。

もしジュースやスムージーにするなら、皮ごとジュースにする、あるいは、絞りかすも同時に飲む、あるいは、食べるようにこころがけましょう。

 

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外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。
  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。

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