野菜とくだものを食べることが癌の予防につながることは、多くの研究から明らかになっています。では、ドライフルーツはどうでしょうか?今回は、ドライフルーツの摂取とがんのリスクとの関係についての研究結果を紹介します。
はじめに
野菜と果物(フルーツ)をたくさん食べる人では、がんのリスクが低下するという研究が多くあります。
国立がん研究センターによる「日本人のためのがん予防法」でも、果物を食べることを推奨しています。
ただ、毎日、新鮮な果物を食べるのは難しいことがあります。
では、果物のなかでも、ドライフルーツはどうでしょうか?
わたしも、ナッツとドライフルーツが一緒になったスナックを食べていますので、気になるテーマです。
というわけで、ドライフルーツとがんとの関係を調べてみました。
ドライフルーツとがんリスクとの関係
2020年にAdvances in Nutrition という雑誌に報告された論文です。
この研究では、ドライフルーツの摂取量とがんのリスクとの関係について、これまでに報告された観察研究を調査し、総合的に評価しました。
全部で16件の研究(アメリカ、ヨーロッパ諸国での研究)を選択しました。
研究対象となったドライフルーツは、おもに、レーズン、デーツ、プルーン、イチジクなどでした。
がんの種類については、様々な種類のがんおよび前癌病変が含まれていました。
結果ですが、(およそ9割の研究で)ドライフルーツの摂取量とがんのリスクの間に反比例の関係を認めました(つまり、ドライフルーツを多く摂取することで、がんのリスクが低下していた、とのことです)。
ドライフルーツの摂取量を、週に3〜5サービング(1サービングが34グラム)増やすことで、すい臓がんの死亡リスクを65%、前立腺がんの発症リスクを49%、そして、(前がん病変である)大腸ポリープの相対リスクを24%低下させることができるという結果でした。
さらに、ドライフルーツの摂取は、新鮮な果物の摂取と同じくらい、がんのリスクを減らすのに効果的であったということです。
以上の結果より、ドライフルーツには、一部のがんを減らす効果が期待できるという結論です。
ドライフルーツで癌予防
ドライフルーツには、食物繊維、ミネラル、ビタミンが豊富で、抗酸化作用と抗炎症作用があります。
とくに、レーズンには血糖値を下げる作用があり、糖尿病や心血管病の予防効果も期待できるということです。
というわけで、ドライフルーツにも、新鮮な果物と同様に、がんを予防する効果が期待できるという結果でした。
新鮮な果物を毎日とるのは、ちょっと難しいことがありますが、ドライフルーツですと保存がききますので、便利です。
ただ、食べすぎると、果糖などの糖質の摂取量が多くなりますので、注意が必要ですね。
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