肺がんの発症リスクとして「喫煙」は有名ですが、食べものも関係していることがわかってきました。肺がんの予防効果が期待できる食べものを3つ紹介します。
はじめに
日本では、男女ともに肺癌の罹患者数が増えています。
現在、肺がんによる死亡者数は、年間およそ7万5千人と推定され、男女合わせると1位になっています。
肺がんの治療法は、免疫チェックポイント阻害剤などの導入によって年々進歩していますが、進行したステージで発見された場合には、依然として根治することが難しくなります。
ですから、まずは予防、そして早期発見したいがんのひとつです。
肺がんの最大の原因はご存じのとおり「喫煙」です。
ですから、たばこを吸わないことがもっとも基本的な肺がんの予防法ですが、ただ、一度もたばこを吸ったことがない人にも肺がんはできます。
意外に思うかもしれませんが、多くの疫学研究の結果、肺がんの発症リスクには、食べものが関係していることがわかってきました。
というわけで、今回は、肺がんの予防効果が期待できる食べものを3つ紹介します。
肺がんの予防効果が期待できる食べもの3つ
1.アブラナ科野菜
アブラナ科野菜とは、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、大根、小松菜、白菜、チンゲン菜、芽キャベツ、ケールなどの野菜です。
アブラナ科野菜には、スルフォラファンという抗腫瘍効果がある成分がふくまれていて、がんの発症や死亡リスクを低下させる効果が報告されていますが、とくに、肺がんのリスクを低下させることがわかっています。
2017年に、J Nutr という雑誌に報告された論文です。
45~74歳までの、喫煙してない日本人男性82,330人を対象とした大規模な前向き研究です。
アブラナ科野菜(キャベツ、大根、ブロッコリ、小松菜など)の摂取量と、およそ15年間にわたる観察期間中の肺がんの発症リスクとの関係を調査しました。
その結果、アブラナ科野菜を多く食べていた人では、肺がんのリスクが低下していました。
とくに、一度もたばこを吸ったことのない人では、51%もリスクが低下していたとのことです。
アブラナ科野菜は、とくに非喫煙者にとって、肺がんの予防に有効な食べものです。
2.大豆食品
以前の動画で、「がんを撃退する具だくさん味噌汁」ということで、味噌などの大豆食品に含まれるイソフラボンが、さまざまな種類のがんのリスクを減らすことをお話しました。
最近の研究では、大豆食品が肺がんのリスクを低下させることが示されています。
今年の8月に、Eur J Nutr という雑誌に報告された論文です。
過去に報告された日本と中国の前向き研究を集めて、40~74歳までの一度も喫煙したことがない人(合計147,296人)について、大豆食品の摂取量と肺腺がんの発症リスクとの関係を調査しました。
その結果、大豆食品を最も多く摂取するグループでは、最も少ないグループに比べて、肺腺がんのリスクが22%低くなっていました。
この結果より、大豆食品を多く摂ることで、非喫煙者における肺腺がんの予防効果が期待できるとしています。
3.ヨーグルト
ヨーグルトには、腸内環境を整えて、免疫システムを強化する作用がありますが、じつは、肺がんのリスクが低下することが疫学調査から明らかとなっています。
2019年に、JAMA Oncology という雑誌に報告された論文を紹介します。
アメリカ、ヨーロッパ、およびアジアから報告された10件の集団研究から、60万人以上の男性と80万人以上の女性を対象として、ヨーグルトと食物繊維の摂取量と肺がんの発症リスクとの関係を調査しました。
その結果、ヨーグルトをたくさん摂取するグループ(1日23グラム程度)では、ヨーグルトを摂取しないグループと比べ、肺がんのリスクが19%低下していました。
さらに、ヨーグルトをたくさん食べ、かつ、食物繊維も多く摂取するグループでは、33%も肺癌のリスクが低下していました。
というわけで、ヨーグルトは、食物繊維と同時に摂ることで、肺がんを防ぐ効果が期待できます。
まとめ
以上、肺がんの予防効果が期待できる食べもの3つということで、アブラナ科野菜、大豆食品、そして、ヨーグルトでした。
毎日の献立にぜひ取り入れてみてください。
#がん予防 #肺腺がん #がんリスク #アブラナ科野菜 #大豆食品 #ヨーグルト #肺癌
最新記事 by 佐藤 典宏 (全て見る)
- 余命(予後)と関係する「がん再発」4つのパターン - 2023年1月23日
- 【がん薬物療法】分子標的薬 アダグラシブ:転移を認めるステージ4「大腸がん(KRAS G12C)」に奏効率46% - 2023年1月21日
- 便秘がちな人に増える意外な「がん」とは?慢性の便秘でリスクが増えるのは大腸がんではなく・・・ - 2023年1月19日