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【最新研究】水の摂取量とがんとの関係!死亡リスクを低下させるベストの水分量とは?

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人の体重のおよそ50~60%は水分ですので、とても重要な栄養素の一つです。「水はたくさん飲んだ方が健康にいい」と言われます。では、がんの死亡リスクを減らすためにはどのくらいの水の摂取がよいのでしょうか?最新研究を紹介します。

はじめに

毎日、どのくらい水分をとっていますか?

人の体重のおよそ50~60%は水分ですので、とても重要な栄養素の一つです。

「水はたくさん飲んだ方が健康にいい」という意見を聞きます。ただ、どのくらいの水分をとるべきかについては明確な基準はありません。

また、水の摂取量と病気(とくに、がん)による死亡リスクとの関係については、ほとんど研究がありませんでした。

今回、水の摂取量とがんによる死亡リスクとの関係を調査した研究結果を紹介します。

水の摂取量とがんによる死亡率

2022年4月の Frontiers in Nutrition という栄養学の雑誌に報告された論文です。

アメリカの成人35,463人を対象として、水分の摂取とがん等の病気による死亡リスクとの関係を調査した大規模な前向き研究です。

水分の摂取量を、4つのタイプに分類して調査しました。

ただの水、飲み物からの水分、食べ物からの水分、そして、トータルの水分摂取量です。

このうち、ただの水とは、水道水とかミネラルウォーターなどのことで、飲み物からの水分とは、牛乳、フルーツジュース、コーヒー、お茶、清涼飲料水、アルコール飲料、などすべての飲み物の水分量のことです。

まず、すべての死因による死亡リスクとの関係ですが、いずれのタイプの水分も、少ないグループに比べて、多いグループのほうが、死亡リスクが低下していました。

つまり、トータルの水分、ただの水、飲み物からの水分、そして、食べ物からの水分のいずれも、多く摂取する人のほうが、長生きしていたということです

次に、この4つのタイプの水分摂取量について、がんの死亡リスクとの関係を調べました。

まず、ただの水(水道水とかミネラルウォーターなど)およびトータルの水分摂取量については、統計学的に有意な相関はありませんでした。

一方で、飲み物からの水分は、もっとも低いグループに比べて、1日1~1.5リットル摂取しているグループで有意にがんの死亡リスクが減っていました

ところが、摂取量がさらに増えると、逆にがんの死亡リスクが増えていました

少なくても、多くても、がんの死亡リスクが高くなるということで、U字型のグラフになっていました。

この飲み物からの水分に関しては、どんな飲み物を飲んでいるかで大きく違ってきますので、解釈がむずかしいのですが、ほどほどがよいという結果です。

また、食べ物からの水分については、もっとも少ないグループに比べて、1.5リットル以上のグループで、有意にがんのリスクが低下していました。

ですから、食べ物からの水分はしっかり摂ったほうがいいという結果です。

まとめ

飲みもの、そして、食べ物から、多めに水分を摂取するように心がけましょう。

水分が多い食べ物としては、トマトなどの野菜や果物がありますので、必然的にこういった食べ物を多くとっている人ががんになりにくいのかもしれません。

また、ご飯やおかゆ、スープ、シチューなどにも、水分が多くふくまれています。

以上、がんに関しては、水分摂取量とはっきりとした相関はみられませんでしたが、全体の死亡リスクは、やはり、水分を多く摂取するほうが低くなるということです

 

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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。

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