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バターとマーガリン、がんのリスクを高めるのはどっち?食用油と癌死亡リスクとの関係

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朝、パンにバターやマーガリンをぬって食べる人は多いと思います。では、がんのリスクを高めるのはどっちでしょうか?研究結果を紹介します。

はじめに

今回は、油とがんとの関係についてです。

私たちは、毎日のように油を使って調理していますし、食品のなかにも、さまざまな油が含まれています。

このうち、一般的に、「体に良い油」と「体に悪い油」と呼ばれているものがあります。

例えば、バターやラードなどの飽和脂肪酸は、とりすぎると、心血管系の病気やがんのリスクが高くなるという報告があります。

また、マーガリンに含まれているトランス脂肪酸も、同じように、心血管病やがんのリスクを高めることがわかっています。

朝、パンにバターやマーガリンを塗って食べることが多いと思いますが、がんのリスクという点からは、どちらが悪いのでしょうか?

今回は、さまざまな種類の油とがんなどによる死亡との関係についての大規模な研究結果を紹介します。

油(油脂)と癌との関係

2021年にBMC Medicine という雑誌に報告された論文です。

この研究では、50歳から71歳までのアメリカ人52万人以上を対象として、食べものの詳しい調査を行い、その後のがんや心血管病による死亡率との関連を調べました。

食事内容の調査から、摂取している調理油・脂肪について、オリーブオイル、コーンオイル、キャノーラオイル、バター、マーガリンに分類して、それぞれの摂取量と死亡リスクとの関係を解析しました。

その結果、摂取量が増えるとがんによる死亡リスクが高くなるのは、バターだけで、マーガリンや、その他の調理油の摂取では増加しないという結果でした。

ただし、がんだけでなく、心血管病など他の死因もふくめた死亡リスクについては、バターとマーガリンのどちらも摂取量が増えると、リスクが増加していました

逆に、キャノーラ油とオリーブオイルの摂取量が増えると、死亡リスクは低くなっていました

以上の結果より、がんの死亡リスクに関しては、バターのほうが悪いようですが、心血管病やすべての死因による死亡リスクについては、バターもマーガリンも摂りすぎはよくないということです。

おそらく、パンに少し塗って食べる程度だと問題ないとは思いますが、料理に大量のバターを使うことは、ときどきにした方がいいかもしれません。

また、パンにバターやマーガリンを塗るかわりに、オリーブオイルと塩をかけて食べるのもいいと思います。

実際に、ある研究によると、バターなど飽和脂肪酸からのエネルギー摂取を5%減らし、その分をオリーブオイルなどの植物由来の不飽和脂肪酸に置き換えた場合、がんによる死亡リスクを11%低下させることができると推定されています。

まとめ

というわけで今回は、バターとマーガリン、がんのリスクが高くなるのはどっち?というお話でした。

どちらも体によくないという結論ですが、がんのリスクに関しては、バターのほうが高いようです。

特定の食品を避ける必要はありませんが、摂りすぎには注意しましょう。

 

【注意】あくまで、ひとつの研究結果であり、今回の結果が皆さんに当てはまるとは限りません。人間には多様性があります。年齢、性別、体格(身長・体重)、遺伝的特徴、生活習慣、さらに、腸内細菌のパターンなど、ひとりとして同じ人間はいません。同じ食べ物を同じだけ食べたとしても、消化能力や吸収効率は人によって異なりますし、代謝や健康への影響はまさに千差万別です。ですので、誰にでも当てはまる食事のエビデンスはありません。そういった前提で、「がんと食事・食べもの」についての情報に触れて頂きたいと思います。

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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。

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