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危険すぎる人工甘味料?腸内細菌へ与える影響が・・・

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毎日のようにとっている「人工甘味料」ですが、砂糖と比べると低カロリーで健康的というイメージがあります。ところが、最近の研究によると、人工甘味料は糖尿病や体重増加、肥満のリスクを高め、ひいてはがんの原因になるかもしれない、ということがわかってきました。今回は、人工甘味料の腸内細菌への影響についての研究報告を紹介します。

はじめに

今回は、人工甘味料についてのお話しです。

みなさんもご存じだとは思いますが、人工甘味料は、砂糖の代わりとして多くの飲み物や食べ物に使われています。

とくに、シュガーレスとか、糖質オフ、あるいは、低カロリーと謳っている食品で、甘いものには必ずといっていいほど入っています。

例えば、「コカ・コーラ ゼロ」には、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースという人工甘味料が含まれています。

この人工甘味料ですが、砂糖と比べると低カロリーで健康的というイメージがありますし、少なくとも深刻な病気を引き起こすことはないと考えられていました。

ところが、最近の研究によると、人工甘味料は決して健康的ではなく、それどころか糖尿病や体重増加、肥満のリスクを高め、ひいてはがんの原因になるかもしれない、ということがわかってきました。

では、人工甘味料はなぜ危険なのでしょうか?

今回は、人工甘味料が腸に与える影響についての研究を紹介し、糖尿病やがんとの関係について解説します。

人工甘味料と腸内細菌、がんとの関係

2022年の9月に、Cell という雑誌に報告された論文です。

この研究を行ったイスラエルの研究チームは、以前から、人工甘味料によって血糖値が上昇することを確認していました。

例えば、サッカリン、スクラロース、アスパルテームが、マウスの血糖値を上昇させ、そのレベルは砂糖を与えられたマウスの血糖値よりも有意に高いことを報告しています。

人工甘味料の多くは消化管で消化・吸収されにくいため、大腸まで届きやすく、その結果、腸内環境を乱す可能性があります。

この研究では、これらの人工甘味料が、人の腸内細菌に与える影響を調べました。

過去に人口甘味料を摂取したことのない120人の健康な成人をランダムに分けて、4種類の人口甘味料(サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、ステビア)のうちいずれか1つを、2週間摂取してもらいました。

比較のために、これらの甘味料を与えられていないグループも設定しました。

すると、4種の甘味料のうちいずれかを摂取し始めて2週間以内に、一部の人の腸内細菌の構成、機能および、血液中に分泌する代謝物に明らかな変化を認めたということです。

つまり、人口甘味料を継続して摂取することで、腸内細菌が変化する人がいるということがわかりました。

さらに、サッカリンとスクラロースの摂取によって、耐糖能(ブドウ糖に対して血糖値を下げる反応)が障害され、血糖値が高い状態が続くようになりました

また、興味深いことに、甘味料を摂取した人の便から採取した腸内細菌を、無菌のマウスに移植したところ、人でみられたのと同様に、マウスでも耐糖能の障害がみられ、血糖コントロールを弱めたということです。

つまり、人工甘味料による腸内細菌の変化が、血糖値の調節機能を低下させることを示すひとつの証拠となる所見です。

以上の結果より、今回の研究では、短期間の影響しか調べていませんが、人工甘味料は一部の人の腸内細菌の変化をもたらし、食後に血糖値を下げにくくする可能性があることがわかりました。

血糖値が上昇した状態が続けば、当然、糖尿病や心血管病、肥満、さらには、がんのリスクが高くなります。

実際に、人工甘味料を多く摂取する人では、がんのリスクが高まるという研究報告があります。

以前の動画で紹介したと思いますが、人における大規模な観察研究では、人工甘味料(とくに、アスパルテーム、アセスルファムK)を多く摂取している人では、がんの発症リスクが13%増加していたという結果でした。

さらに、人工甘味料は、がんだけでなく、糖尿病や心血管病など、他の病気のリスクを高め、すべての死因による死亡率を高めることがわかってきました。

実際に、ヨーロッパ10カ国の約45万人を対象とした前向き研究によると、砂糖入り飲料を多く飲む人では、すべての原因による死亡リスクが8%増加していましたが、人工甘味料入り飲料を多く飲む人では、なんと26%も増加していました。

つまり、砂糖入りの飲み物よりも、むしろ人工甘味料のほうが、死亡リスクを高めるということで、おどろくべき結果です。

まとめ

というわけで、注意したい人工甘味料として、

  • アスパルテーム
  • アセスルファムK
  • サッカリン
  • スクラロース

があります。

もちろん、これらの人工甘味料が、がんやその他の病気の原因となっている直接的な証拠はありませんが、今回の研究結果をみても、できれば、たくさんとることは控えていただきたいと思います。

 

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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。

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