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「筋トレ」でがん生存率アップ:がん患者さんに筋力トレーニングをすすめる理由とメニュー

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がん治療がうまくいくかどうかの決め手となるのは、じつは患者さん自身の「筋肉」です。実際に、筋トレをするがん患者さんは生存期間が延長する(長生きする)という研究結果があります。がん患者さんにおすすめの筋トレのメニューを3つ紹介します。

 

はじめに

がんの治療が成功して、長生きするためには、何が必要だと思いますか?

もちろん色々な因子がありますが、がん治療がうまくいくかどうかの決め手となるのは、じつは患者さん自身の「筋肉」なのです。

わたしは外科医で、おもにがんの手術を担当していますが、はじめて外来を受診されたがん患者さんを診察するときに、かならず「ふくらはぎ」を触らせてもらいます。

不思議なことに、ふくらはぎの筋肉がしっかりとしている患者さんは、手術を無事に乗り越えてがんが治るんです。

一方で、ふくらはぎの筋肉が落ち、細くなっている患者さんは、手術後の合併症も多く、がんが再発して亡くなることが多いのです。

これは、べつに私の感覚や経験だけにもとづいた非科学的な話ではなく、多くの研究データによって裏付けられた事実なんです。

実際に、筋肉がしっかりとしているがん患者さんのほうが、手術の合併症が少なく、生存期間が延長するという多くの研究結果があります。

また、抗がん剤治療中に筋肉の量が減ると、治療の効果が低くなり、生存期間が短くなることも報告されています。

つまり、がんの診断後にも、筋肉が保たれている患者さんは、筋肉が減ってしまう患者さんに比べて、治療成績がよく、結果的に長期に生存できる可能性が高くなるのです。

がんの治療を乗り切って克服するためには、筋肉を維持する必要があります。

ただ、どうしても、いろいろな理由で、がん患者さんの筋肉は日々減っていくんです。

そこで、筋肉を維持するための対策の1つが「筋力トレーニング(いわゆる筋トレ)」です。

筋トレをするがん患者は長生きする

多くの研究により、がん患者さんが筋トレをすることで筋肉を維持でき、治療が上手くいくことがわかってきました。

たとえば、がんの手術前に筋トレをすることで、合併症が減ることが明らかとなっています。

また、抗がん剤治療中に筋トレすることで、副作用が減ることもわかっています。

さらに、驚くべきことに、筋トレをするがん患者は、生存期間が延長する(つまり長生きする)という研究データもあるのです。

アメリカで実施された、2,863人のがんと診断されたサバイバーについての研究です。アンケートによって、「筋トレ(週に1日以上のウェイトトレーニング)をしているかどうか」などについて調査し、その後の生存期間との関係を解析しました。

その結果、筋トレをしているがん患者は、筋トレをしていない患者に比べ、全生存期間が延長しており、がんを含めた全ての死因による死亡リスクが33%も減少していました

筋トレするがん患者(がんサバイバー)は長生きするということを証明する研究結果です。

では、がん患者さんはどんな筋トレをどのくらいやればいいのでしょうか?

実際には、これがベストという決まったやり方はありません。

患者さん自身のこれまでの運動習慣、体力(筋力)、および病状や治療内容によって、それぞれ調整すべきだと考えられます。

がん患者はどんな筋トレをすべき?

アメリカがん協会による「がんサバイバーのための栄養と運動ガイドライン」では、「1週間に150分(2時間30分)以上運動することを目標にする」ことに加えて、「1週間に2回以上の筋トレを運動に含むこと」が推奨されています。

また、筋トレは、レジスタンス(抵抗)運動という名前からもわかるように、抵抗(負荷)が軽すぎると意味がありません。

したがって、一般的には、「少しきつい」と感じる程度の筋トレを、1週間に2~3回行うのがいいでしょう。

具体的な筋トレのメニューについては、基本的には筋肉にしっかりと負荷がかかればどんなものでもいいのですが、上半身、体幹部、下半身の筋肉を意識したメニューがいいと思います。

自宅で手軽にできる3つの筋トレメニューを紹介します。

腕立て伏せ

一つ目は、上半身の筋肉をきたえる「腕立て伏せ」です。10から20回を3セットが理想的です。
きつい場合には、膝を軽く曲げて床についてやると、少しやりやすくなります。

フロントブリッジ(プランク)

二つ目は、体幹部をきたえる、「フロントブリッジ(プランク)」です。

簡単そうにみえて、意外ときついですね。

20~30秒からはじめて、できるようになったら時間をのばしていきましょう。

スクワット(屈伸運動)

そして、三つ目は、下半身の筋肉をきたえる「スクワット」です。これも、20回を目標に、3セット行ってください。できれば、深くしゃがむことが重要です。

もし、きつい場合には、椅子をつかって、椅子から立ち上がるかたちでスクワットする方法もあります。

手始めにこの3つだけでも、やってみて、徐々に、鍛えたい筋肉におうじてメニューを増やしていってもいいと思います。

くわしくは、こちらをご覧ください。

 

#運動 #筋肉 #癌患者 #がんサバイバー

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外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。
  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

外科医(産業医科大学第1外科講師)/がん研究者/YouTube「がん情報チャンネル」登録者2万人突破!/著書に『ガンとわかったら読む本』『がんが治る人 治らない人』『がんにならないシンプルな習慣』など。がん患者さんと家族に役立つ情報を発信します。

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